ポケットほり加工でスミ部ビビリに悩んだら
〜刃数を減らすだけで劇的に変わる話〜
有限会社溝口製作所 代表取締役 溝口 敬悟
今日は、ポケット加工や長穴加工をされる方なら一度は経験したことがあるであろう
「スミ部(隅部)でのビビリ」について、実践で効果抜群だった対処法を紹介します。
現象:角Rと工具径が近いと、なぜビビるのか?
下の写真のような長穴ポケットを加工しているとき、上下の半円部分(スミ部)で
「ギュイィィン!!」という嫌〜なビビリ音が鳴ることがありませんか?
使用条件例:
- 工具:φ28mm 5枚刃エンドミル(インサート式)
- 角R:R15mm(工具径の約半分)
この条件だと、隅部では同時に噛んでいる刃数が急激に増えるため、切削抵抗が一気に跳ね上がり、ビビリが発生しやすくなります。
特に高能率で回していると顕著に出ます。
よくある対処法と、その限界
普通なら皆さんこうしますよね。
- 送りを下げる
- 回転数を下げる
- 切り込み量(ap、ae)を減らす
- トロコイド加工に変更する
確かにこれらも有効ですが、
「どうしてもこの条件で回したい!」
「サイクルタイムを落としたくない!」
という現場では、根本解決にはなりません。
私が即効で効果があった方法 → 刃数を減らす!!
結論から言うと、
5枚刃 → インサートを2枚外して3枚刃にする
だけで、ビビリが劇的に収まりました。
写真のように、対角線上にあるインサートを2枚外して、実質3枚刃として使用しています。
なぜ刃数を減らすとビビりにくくなるのか?
- 同時噛み刃数が減る(最大3枚 → 最大2枚程度になる)
- 1刃あたりのチップロード(負担)が大きくなるが、噛み刃数が少ないため切削抵抗のピークが低くなる
- 特に隅部での「急激な負荷増加」が緩和される
- 刃数間隔が不均等になることで、ビビリの共振周波数がバラける(これが意外と効く)
結果:あの「ギュイィィン!」がほぼ消えました。
表面粗さも明らかに良くなっています。
刃数減らしの目安(私の経験則)
- 5枚刃 → 3枚刃(最もおすすめ)
- 4枚刃 → 2枚刃
- 6枚刃 → 3枚刃 または 2枚刃
ポイントは「対角線上の刃を残す」こと。
隣同士を残すとバランスが悪くなるので注意してください。
注意点とその後の調整
もちろん刃数を減らすということは、理論上の金属除去量は減るので、送り速度は5枚刃時より下げないといけません。
ただし、経験上、
- 5枚刃でF3000だったのを
- 3枚刃でF2600〜2800くらいにしても
ビビらずに回せることがほとんどです。
つまり、サイクルタイムはほぼ変わらず、仕上げ面は格段に良くなるという美味しい状況になります。
まとめ
ポケット加工のスミ部ビビリで悩んでいる方は、
ぜひ一度「刃数を減らして」試してみてください。
工具メーカーのカタログ値はあくまで「最大刃数での数値」です。
現場では「最適刃数」は条件によって全然違います。
「刃を減らす=悪」ではなく、
「最適な刃数に調整する=正義」だと私は思います。
刃を2枚外すだけでビビりが消えるなら、
こんなにコスパの良い対策はありませんよね(笑)
皆さんの現場でもぜひお試しください!
効果があったらコメントで教えてくださいね。
有限会社溝口製作所
溝口 敬悟

















